そい じょ 

川崎さとみのプライベートブログです。 

風の影

 『風の影』カルロス・ルイス・サフォン著 木村裕美訳 集英社文庫 は、間違いなく名作だ。

 

 舞台はスペインのバルセロナ、1945年の夏の朝、ダニエル少年は古書店を営む父親に、「忘れられた本の墓場」に連れて行かれる。

そこで出会った、1冊の本から始まる物語は、歴史・恋愛・青春・冒険ミステリーの多彩な要素を兼ね備えており、読み始めると一気に惹きこまれてしまう。

17ヶ国語、37カ国で翻訳出版されているというのも納得。

 

 スペインに興味がある人は、ぜひ読んでみて欲しい。

バルセロナに行った事がある人なら、懐かしい気持ちにもなるだろう。

スペイン内戦という重要な歴史を知る貴重な資料でもある。

 

心に残った一節を紹介したい。

p327__ 戦争は忘れる事をえさにして大きくなっていくのですよ、ダニエル。私たちは誰もが口をつぐみ、そのあいだに、戦争は、わたしたちを納得させようとする。私たちが見たものや、やったこと、自分の経験から、あるいは他人から学んだことはただのまぼろしだった、一過性の悪夢だったのだと、私たちに思いこませようとします。戦争に記憶はないし、誰もあえて戦争を理解しようとしない。そのうちに、何が起こったのかを伝える声が消滅し、私たち自身も、戦争というものを認識できなくなる時がやってきます。すると戦争は、顔を変え、名前を変えて戻ってきて、後ろに残してきたものをむさぼり食うのです。__