そい じょ 

川崎さとみのプライベートブログです。 

サルバドールの朝

 『サルバドールの朝』マヌエル・ウエルガ監督 2006年スペイン映画 のDVDを見た。

 

 1970年初頭、スペインのフランコ独裁政権の末期に反体制活動に参加していた青年が、警官との銃撃戦で殺人を犯し、死刑を宣告される。

彼が発射したのは3発で、警官が撃たれたのは5,6発 つまり警官側が相撃ちして亡くなった可能性も大であったが、充分な司法解剖・審議がされないままに、高まる反体制活動に対する「見せしめ」的な理由で、処刑されてしまう。という話しだ。

 

 知的で正義感溢れる青年が、その思想ゆえに命を落とす。

しかし、どんな大義があろうと、武器を使うことによって正義は失墜する、と私は思っている。

一方で武器を持たない「平和的解決策」が遅々として前進しないのは、チベットミャンマーの例を見ても明らかだ。

「善いことは蟻の速さで進む」と言ったガンジーは、凶弾に倒れた。

 

 人類が本当の「知性」を手に入れるのは、まだまだ先のような気がする。

 

 また、死刑制度についても、考えるほどに明瞭な答えは出ない。

私は仏教徒なので、「死刑制度には反対すべき」と、考えてはいる。

仏教思想では、「死」は「罪を贖う手段ではない」のである。

しかし、もし自分の娘が理不尽に犯されたり殺されたら、冷静な判断など出来るものではないだろう。

 

 スペインでは現在、死刑は全面廃止されている。(EU加盟条件の一つに、死刑の全面廃止がある)

ところが、2005年、娘(事件当時13歳)を強姦された母親が、仮出所中の犯人にガソリンをかけ、焼死させるという事件があった際、その母親に対する世論は「良くやった!」という賞賛に満ちたものだったという。

死刑が廃止された国でも、世論は「あだ討ち」を肯定したのだ。

 

 さて、小説でも映画でも、スペインの作品は「これでもか」と言うほど血の流れるもの、また作中人物が死ぬものが多いように思う。

たまたま、私がそうゆう作品にばかり当たってしまっているのか・・・。

人生は「ハッピーエンド」には終わらないことの連続だから、せめて小説や映画というのは、見る人読む人に「無力感」ではなく「希望」を与えるものであって欲しいと思うのだ。

 

 「サルバドールの朝」(原題:SALVADOR)は、その意味で余り好きな作品ではないが、フランコ統治下のスペインを知るのに良い資料として、見る価値はあると思う。

 

 ちなみに、先述の「あだ討ちの母」には、つい1週間ほど前に「懲役9年の有罪判決」が下った。

この判決に対してスペイン社会は「恩赦にすべき」「自分なら同じ事をしたと思う」等、やはり「母」の味方をする声に溢れている。

興味のある方は、abc の記事をどうぞ。

http://www.abc.es/20090723/nacional-comunidad-valenciana-alicante/condenan-nueve-anos-medio-200907231245.html