そい じょ 

川崎さとみのプライベートブログです。 

サン・ビセンテ岬のタンポポ

 昨日は、高円寺エスペランサでのライブを終えて、また荻窪から上石神井まで歩いて帰ってきた。

「歩く」のは、本番後の心身を宥めるのにとても良いので、最近は、この帰宅方法が気に入っている。

 

 

 昨日のライブは、事前にブログで宣伝しなかったにも関わらず、皆さん、見に来て下さって、とても嬉しかったです。有難うございました。

 

 

 何故、宣伝しなかったかというと、実は「当日まで会ったことさえ無いメンバー」との共演だったので、どんなショーを提供できるのか、全くの未知数だったから・・。

 

 結果としては・・・何とか、なった。

初顔合わせで、何とかなるのがフラメンコの面白さでもある。

でも、最善のものには、ならない。 

昨日は、ギタリストがベテランだったから、そして唄い手が聡明だったから、私たちは支えてもらえたのだ。

あんなに伴奏者に甘えてしまってはいけない、と私は猛省している。

 

 クアドロをやる時、踊り手にとって一番、大切なのは自分がちゃんと踊ること以上に、他人の踊りを支えること。

初見で出来るこというのは、たかだか知れている。

「良かったですよ」と言って下さるお客様に対してこそ、事前の合わせをしておけば「もっと良かったはず」と、私は申し訳なく思っている。

 

 しかし、昨夜は嬉しいこともあった。

16年前、私に弟子入りして、その後プロになり、渡西・帰国後、今、静岡で先生をやっている「旧、一番弟子」が、訪ねて来てくれたのだ。

現在、彼女は35歳(19で入門)で、それは当時の私と同じ年齢だという。・・・時の流れの速さを痛感した。

 ※ 次回、6月26日(土)には、彼女をゲストにして、又、エスペランサでライブをやることになったので、ぜひ、応援して下さい。

 

 そうして昨夜は、懐かしい生徒に会ったことで、色々な「昔の生徒さん」のことを思い出し、今の自分を反省しつつ、青梅街道を歩いていたのだが・・・。

道程の半分以上を過ぎた辺りで、やおら強風に背中を押された。

 

 通り沿いの園芸店に並べてあった大きな鉢植え(男の人が持ち上げるのさえ大変そうなの)までが、ゴロゴロと飛ばされている。

 

 その余りの勢いに、2002年に訪れたポルトガルの「サン・ビセンテ岬」の景色を思い出した。

 

 サン・ビセンテ岬は、イベリア半島の地図を見ると左下(上を北にして)の、ひときわ尖って突き出た所である。

まさに吹きさらしの何もない断崖絶壁、そしてそこに続く広々とした野原には、タンポポなどの草花が一面に咲き乱れていて、絶景だ。

そして、それら花々の「咲き方」に私は心を打たれた。

 

 歩くことさえままならないような強風が、四六時中吹きすさんでいる岬では、どの草花も茎は上に伸びず、大地に寄り添って生えている。

タンポポも、街中で見るように、スクッと伸びた花は一輪もない。どれも地面に貼り付くようにして咲いている。

 

 ああ、こんな風に環境に順応して咲くからこそ、野草は強い。強風から身を守る為に、頭を下げ、茎を短くして、横へ横へと拡がることで、足場を強くしているのだ。こんなにも身を低くしているからこそ、ここでは美しく咲いていられるのだ。人もまた、逆風に対して顔を上げ、背筋を伸ばして立ち向う姿ばかりが凛々しいのではないかも知れない。

 

 岬のタンポポが、そんな風に私に教えてくれたのを思い出した。

そして、強風に背を押されつつ、残りの道を足取りも軽く帰宅したのだった。